YAWARA! 、Monster 、20世紀少年、PLUTO ‥浦沢直樹さんの漫画はどれも人間の臭いがして、とても好きで読んでいました。実は小さい頃から漫画が大好きで色々と読んでいたのですが、大きな引っ越しのタイミングやライフスタイルの変化によって、持っていた漫画の全部を手放してしてから、ほとんど漫画は読まずに過ごしていました。気がつけばアッという間に10年程時が経過してしまいました。(ぎょぎょっ)そんなある日、 本屋さんをウロウロしていたら偶然見つけたのが、浦沢直樹さんを特集した美術手帖2016年2月号でした。
「お〜美術雑誌に漫画家の特集が組まれるなんて、さすが日本!」と、思う程度でこの時は懐かしい「浦沢直樹」の名前を表紙に確認しただけで通り過ぎてしまいました。しかし、こういうのは重なるものですね。(シンクロってやつですね、笑)その後すぐに新聞の記事で、世田谷美術館で「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる」が開催中であることを知ることになりました。ああ、だから美術手帖で特集が組まれてたのね!と納得。記事の中で、現在の浦沢さんの活動が、漫画だけに留まらずに音楽や、NHKで番組を持ったりして広がっていること、これまでこもって描き続けて来た彼が「体」を求めて、紙の外側へ活動の場を広げている姿がとても印象的で、その後すぐに見に行って来ました。
現在連載中の[BILLY BAD]のネーム&生原稿の展示、それぞれの作品の生原稿が贅沢にも壁一面に飾られ、MONSTERは漫画1冊丸々というボリュームが展示されていました。幼少期のスケッチブックや、少年浦沢直樹が漫画を描いてる様子のインスタレーション、未公開イラストの数々、名シーンをコラージュした大きな壁や、ともだちのオブジェ、浦沢さんの音楽CDなどなど…(別の日には本人によるライブもあったそうです)とにかく盛りだくさんッ!浦沢さんの作品やその他の活動の根本にある、エンターテイナーとしてのサービス精神がすごく感じられる、熱い、展示でした。
行った当時の私の興奮したツイート ↓
浦沢直樹展、原画と生ネームのオンパレードに感動…😭 まるで気持ちの良い温泉に入った様なエネルギーに満ちてて最高でした✨ 浦沢さんが13歳の時に描いた自画像が個人的にはとてもツボで、カッコ良くて素敵でした(笑)#描いて描いて描きまくる! #世田谷文学館
— ポンポンヒミコ (@ponponhimiko) 2016年2月19日
そして噂の13歳の時の自画像 ↓ 描いた浦沢少年も、展示に出した浦沢氏も最高ですッ!!笑
浦沢直樹 描いて描いて描きまくる (原画集・イラストブック) のインタビューで、限られた時間内で確実な線を引く訓練が必要だったと語っていた浦沢さん。週間雑誌での連載というリミットの中で、最高のパフォーマンスをしようとずっと挑戦してきた、高い志に胸がとても熱くなりました。
話の結末は決まっていないまま、キャラクター達と共に長旅へ出て行く方法で描かれた、エキサイティングなストーリーライン。「食べて、祈って、恋をして」の作家エリザベス・ギルバートが語っていた「ジーニアス」としっかり繋がっているのかな‥と個人的に想像しています。
エリザベス・ギルバート ”創造性をはぐくむには”
大量の生原画と、サービス精神と、誠実な仕事の数々が放つ優しいエネルギーを全身で浴びながら、ひたすら気持ち良く、楽しく、どっぷりその小宇宙に浸かった展示でした。それは、浦沢さんの漫画が持つ特別なワクワク感が、10年間眠っていた私の漫画細胞を起こしてくれた特別な時間でもありました。
この10年間、日本の漫画に対する海外からの評価が大きく変化したことや、漫画を読んでいなかった自分自身の10年間のこと。そして33年間描き続けて初めて今回展示を開催した浦沢直樹さんという漫画家が、現在進行形で歩んでいるユニークな道のことなどについて、あれこれ色々と思いを巡らした、タイムトラベルのような機会となりました。
ディープな3人の対談(笑)3人の体年齢では測れない、純粋なクリエーターのエネルギーが強く印象に残った番組でした。↓