ドキュメンタリー

世界を変えるのではなく、自分が変わる
ドキュメンタリー映画「おだやかな革命」

2018-04-03

 

都市に暮らし、電気を大量に消費しながら日々生活を送っている1人として、エネルギーとの付き合い方には一体どんな選択肢があるのだろう?と考えていました。ちょうど「再生エネルギー」というキーワードに興味を持っていたところ、偶然ドキュメンタリー映画「おだやかな革命」の存在を知り観て来ました。

人にも他の生き物にも、環境にも優しい、ライフスタイルの可能性に興味を持ってからというもの、色んな所で必ずと言っていい程関わっていらっしゃる、文化人類学者の辻信一さんが、今回も出演されていたのが、個人的にはなんだか嬉しかったです。

 

 

“洗脳なのだ!色々な国際的な慈善基金や大言壮語な政治家についての際限なく続くニュースが、人々に、暖かく快適で、そして豊かな食卓に恵まれた家で暮らせるのは、ただただ彼らのおかげなのだという印象を生んでしまっている。そして人々はもはや、マンションの暖房設備やセントラルヒーティング、水や電気の供給システムといったサービスが止まったとしても、どうすれば依存しない生活に切り換えていけるのか、ということを考えようともしなくなる。そして「与えろ!」というスローガンと共に通りへ出るのだ。これらはすべて自分が無力であるという洗脳だ!偽りの教義や社会通念が、大人も子どもも洗脳しているのだ。”

ウラジーミル・メグレ『一族の書』より

 

それぞれの地域に暮らす、色んなバックグラウンドを持った人達が、様々な人生のキッカケを経て、これまでの各々の生き方や働き方、暮らし方を変えて行動を起こしている姿は、観ていて胸が熱くなる思いでした。誰かや何かに自分の人生を依存するのではなく、1人1人が自分の頭で考えて立ち、何が自分にとって幸せなことで、自分にできることは何かを選び取っている姿は本当に力強く、ナレーションをされた女優の鶴田真由さんのコメントにもありましたが、私も美しい「光」を感じました。

本編で紹介されていた自然エネルギーの活用方法や選択肢についても、私にとっては、何か答えや解決策を得られた、というよりも、出演されていた方々のように、これからも自分の頭で考え続けて、自分に合った方法やライフスタイルを選べるようになりたいなと、感じるような内容でした。

 

以前、JR九州会長の唐池恒二さんがインタビューで、「日本が誇れるのは田園風景だと思う、それを残していきたい」とおっしゃっていたのを、このドキュメンタリーを観ていて、ふと思い出されました。都市に暮らし、都市間をまるで点から点へと移動している私が知らなかった、豊かな自然風景たち。日本各地には、まだまだこんな宝物の様な美しい景色の数々が存在しているのですね。観ていて何度も何度もうっとりとしてしまいました。

 

自然や周囲の人々と協力しあいながら、生きてゆくということ。本編に出演されていた方々の人生は今も現在進行形で進んでいて、恐らくこれからもそれぞれ自分が信じる方向へと、変わり続けてゆくのだろうと思います。それはまるで、私たちの身体の細胞が日々生まれ変わったり、自然が永遠に変わり続けているように。