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ドラマ

幸せの条件って?!
ドラマ「anone(あのね)」

2018-05-25

 

 

今年第一期に日本テレビで放送されていたドラマ「anone(あのね)」。放送時は中々観れずにいたので、今回Huluで一気に視聴したのですが、これが想像していたよりも面白くて、のめり込むように全話観てしまいました。「カルテット」や「Mother」、「東京ラブストーリー」などで有名な坂元裕二さんのオリジナル脚本という本作。私は坂本さんの作品をちゃんと観るのは今回が初めてなのですが、まるで多重演奏のように張り巡らされた伏線が、観る者の好奇心をくすぐります。

 

日雇りバイトをしながらネットカフェで暮らす辻沢ハリカ(広瀬すず)は、ひょんなことから捨てられていた大金と出会う。偶然その場に居合わせた、持本舵(阿部サダヲ)と青羽るい子(小林聡美)もその大金の存在に目の色を変え、手に入れようとハリカと争奪戦を繰り広げるが、それはとある廃業した印刷所で作られた偽札だと知る。お金を自分たちの手で作れるかもしれないと知ったハリカ達は、それぞれの動機によって、共に偽札作りを始めるのだが‥。

 

世界各国では何年も前から既に非現金化が大幅に進み、カードや電子マネーなどの利用率が半数を超えている現代において、コストや労力が掛かる「偽札作り」というこのドラマの設定は少し古いような気もしてしまいますが、未だに現金主義が多くカード利用率が20%ほどと言われている現代の日本を、ある意味では色濃く反映したストーリーとも言えます。

もー、とにかくキャストも豪華です!

 

 

主演・広瀬すずちゃんは、どんなにダサイ格好をしていても、どんな表情をしていても、何をしていても可愛いです!主役ならではの天然の華やかさがあって、暗めのストーリーに光を添えてくれる存在でした。

 

 

阿部サダヲさん、小林聡美さんの共演はもーたまりません!お二人がそこにいるだけで、そこがこの世のどこであろうと一気に独特な空気感に包まれます。会話のテンポも演技も安心して委ねられます。それにしても最近阿部サダヲさん出演作を立て続けに観ているのですが、相手役の幅(年齢や個性)が広いのもさすがです(笑)

 

 

この役は誰にも渡したくなかった、という中世古 理市演じる瑛太さん。目的に取り付かれてしまい、人生のほとんどのことに価値が見出せなくなってしまった姿は静かに不気味でした。怪演!

 

 

紙野彦星役の清水尋也君は今回初めて知ったのですが、この役にピッタリ。イケメン過ぎず、地味すぎず、長身で線が細く、体調悪そうで(病人の役です)、絶妙な存在感!

 

脇役も名優ぞろいです。瑛太さん演じる中世古 理市の妻役にまさかの鈴木杏さんが。いい感じに生活臭も出ていて、やっぱり演技が上手。出演回数は本当に少なかったのですが、強く印象に残っています。

 

 

林田 亜乃音が勤める弁護士事務所の所長役の火野正平さんの演技も、すばらしかったです。林田 亜乃音に対する愛情表現の仕方とか、んもう素敵です。

 

林田 亜乃音の娘役の江口のりこさんも絶妙な配役です。顔もどことなく母親を演じる田中裕子さんに似てますし(笑)役が内に抱えている怒りやどうしようもなさが、とてもうまく表現されていました。

 

 

個人的にはもうなんと言っても亜乃音役の田中裕子さんの演技が素晴らしかったです。飾らない立ち振る舞いも、スッピンのような年老いたゆがんだ顔も、無造作にセットされた髪の毛も、「いるいる、こんなおばちゃん!」と自然に感じられる生身の人間の姿は、もう彼女がこの作品の主人公なんじゃないかって言うくらい、特別際立っていました。人間臭さや人が内側に持つ美しさを空気感で静かに表現されている点も、本当に素晴らしかったです。ものすごい女優さんです‥!

 

「お金さえあれば」「理想の親(子)さえいてくれれば」「他の人と同じように普通であれば」「〇〇さえあれば」幸せになれるのに、愛されるのに‥。自分の「持っていないもの」ばかりに心奪われてしまい、「当たり前に持っているもの」に中々気付く事ができず、自ら大切なものを壊してしまうことも少なくない私たちですが、このドラマに出てくる 「血縁」や「お金」はあくまでも「形」であり「媒体」であることをまるで象徴しているようでした。”本物”と”偽物”の違いは、そこに「愛」があるのかどうか、なのかな、と。それは「見返りを求めずにただ愛すること」や「持っているものに感謝する=愛を感じる心を持つ」ことがなければ、ただの「血」であり「紙切れ」であり、決して「私たちを幸せにする力」を持たないのではないかな、とそんなことを観ていて個人的には感じました。

 

 

面白いなぁと私が感じたのは、このドラマでは真相やキャラクターの全てが語られず、掘り下げられないまま放置されたエピソードがある点、そして「神」の視点で「悪」を裁く事が決してなかった点でした。視聴者の「考える力」や「感じる力」にストーリーの余白部分を委ねながら、私たちの実際の生活に置いても「真実」と呼ばれる「情報」が全て明確に提示されないことや、「原因」と「結果」が一直線で繋がっていないこと、「真実」が1点の視点によって構成されているものではないということを、改めてそっと伝えてくれている様にも感じられました。

ただ、個人的には最初の方の展開スピードに比べて、どこか最後はバタバタと終わってしまった、といった印象も。脚本家の坂本さんが表現したかった事を完結させるのには、もしかしたらあと2話分くらい追加スペースが欲しかったのでは??なんて、個人的には想像してしまいました。

 

また今回亜乃音の家の美術セットや小道具、それぞれのキャラクターが着ていた服装も、それぞれの役にぴったりで、(特にハリカや亜乃音の衣装が秀逸!ハリカのスケボーに描かれていたパウル・クレーの絵も印象的でした)ドラマの世界観の作り込みが丁寧で、作り手の愛を隅々まで感じました。

 

本作は放送時の視聴率は振るわなかったそうですが、テレビ離れが進んでいる今、作品の価値とはあまり比例していないように感じています。描かれているのは普遍的なテーマを扱った人間ドラマ。決してそのときだけ消費される作品ではなく、オンライン配信サービスやDVDなどで、これからも長く愛されるドラマだと思いました。

 

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