アート | ドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」

2013-10-06

“The point is that fashion is the armour to survive the reality of everyday life.

I don’t think you can do away with it,

it would be like doing away with civilisation.”

 

NY タイムス紙で50年以上にも渡って、ストリートファッションを撮り続けているビル•カニンガムを追ったドキュメンタリー映画 『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(2010年)。猛スピードで変わり続けているファッション業界と、その中心地であるNYCで、どんなに有名なセレブリティーであろうと、ホーム レスであろうと、彼のカメラは等しく彼らが着ている”ファッション”に向けられ、ファインダーの奥にある彼の眼は、まるで子供の様に純粋な視線で、服を着 る人々の瞬間瞬間の生き様を見ている様でした。

本 編では、これまであまり語られる事の無かった彼の私生活や仕事に体するポリシーの一部が紹介され、ビルがお金を持つ事、生活に必要な多くの物資や贅沢品を 持つ事を頑に拒む姿や、決して仕事で訪れた社交パティーでは飲食をせず、黙々と仕事をする姿が映し出されていました。そこには、静かに、だけれども力強 く、彼が仕事と私生活を、同じ価値観によって等しく律っしている姿がありました。

世界中から野心を抱えた人たちが熱狂する街NYC で、激しく欲望が渦巻くファッションマーケットの中に身を置きながらも、己が信じる美しさを守る為に、一貫した客観性を持ち続けながら、そこに多種多様に 存在するあるがままの1人1人の人間の姿を撮り続ける彼の姿勢が、とても美しくて、見ていてポロリと涙が出て来てしまいました。

ド キュメンタリー映画も、監督の意図が入った創作物で、ビル・カニンガムを個人的に知っているわけでは無いので、本当の所どんな人なのか知る事はできません が、今日もNYCの何処かに自転車で出かけて、あのクシャっとした笑顔で、新しい発見をフィルムに納めているのかな?と想像すると、とても暖かい気持ちに させてくれます。

 


ビル•カニンガム&ニューヨーク

http://bcny.jp/

 

 

 

ビル・カニンガム&ニューヨーク (字幕版)
▶オンラインではAmazonU-NEXT で見れます♪